WelcomeHome

お引越ししようかなと思っていて、お部屋を片付けてたら、大学時代のノートが出てきた。あは。演劇部だったのよね。脚本にもチャレンジしております。お恥ずかしながらダイジェストで紹介いたします....。


タイトル:WelcomeHome 


ストーリー:どこでもないあるところに、”WelcomeHome”とよばれるところがあった。そこには昔ヤクザだった「ノラ」、バツイチの「ヒメ」、ヤブ医者と噂され仕事を追われた「先生」...など、自分の過去を語りたくない住人たちが、思い思いに自分を演じ、自由気ままに和気藹々と住んでいた。


そこへミュウと名乗る少女が現れる。ミュウの家は実は宇宙人一家で、周囲にはそのことをずっと秘密にして育ってきた。心の中にどことなく疎外感を感じながらも両親の愛情に満たされ幸せだったミュウ。ところが16歳の誕生日になると、宇宙政府の決まりでエイリアンカードなる身分証明カードを登録する義務があり、カードの登録と所持、宇宙人としての存在をめぐり両親と大ゲンカし、家を出てしまったのだった。歩いて歩いて、気づくとミュウはWelcomeHomeの前に立っていた。


ミュウは、なんだかにぎやかそうなWelcomeHomeに、「たまたま」立ち止まってみただけなのだが、ノラやヒメは「運命的な」出会いだと感激し、すぐにミュウを家へ招き入れる。そこではミュウがどこの何者なのかを誰も聞かない。いまそこにいるミュウだけがすべての世界だった。すぐにミュウはWelcomeHomeが気に入り、住人たちと暮らすようになる。


ところがある日、ミュウのエイリアンカードを先生が見つけてミュウの身の上を知ってしまう。みんなの態度が急変するのではないかと恐れるミュウ。しかしそんなミュウの心配をよそに、みんなはいつもどおりに振舞ってくれるのだった。そしてもう自分のことなんて気にしないでいいのだからとエイリアンカードを割ってしまうことを、ノラに提案される。


いよいよカードを割ろうとしたその瞬間、ミュウを必死にさがしていた両親が現れる。父と母は言う。「おまえが自分をどんな風に思おうと、他人が何と言おうと、お前の父さんと母さんであることに変わりはない。エイリアンカードは、お前がお前であるという証明だけでなく、父さん母さんの子であるという歴史の証明なのだ」と。


ミュウはカードを割れなくなってしまった。そのときミュウは気づいたのだった。自分のこれまで積み上げてきた過去は、自分自身だけで成り立っているのではなく、父や母やその父や母の...と多くの人とのつながりのなかで生まれたものだったということを。WelcomeHomeは理想郷であり、少なくない人が求める心安らぐ場所ではあるかもしれないが、それは「過去との断絶」を前提とした非日常の世界であり、言うなれば仮の安定所、いつかその地を離れなければ、人間社会からは切り離されたままのところなのである。


ノラたちはもう今更抜け出す勇気はない。しかしミュウはまだ間に合う。みんなに励まされ、応援され、ミュウはもとの生活へかえっていく....。


おしまい。

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ちょうど、私が16歳だった頃、外人登録証明書の登録をしなくてはいけなくて、しかもその頃はまだ指紋を押す義務があって、両親とあれこれ議論した思い出がモデルになってます。それにしても懐かしいのがでてきました。

こっぱずかしいですが、過去の自分と向き合ってみるのもたまにはいいものです。のこっているのは脚本だけでなく、日記、交換日記、ラブレターなどもありますが、それはまたいずれ別の機会に。