ひとりぼっちのライオン

森の中にはいろんな動物たちがいるんだよ。
象、鳥、ウサギ、ライオン。

でもね、ライオンはいっつもひとりぼっちだった。
近づいたら、みんな怖がって逃げちゃうと、思ってたんだ。

いつも、みんなを遠くから見ているだけだった。
いいなあって。



みんながかくれんぼしているときも。
みんながかんけりしているときも。
みんながめいれいごっこしているときも。

いつも、みんなを遠くから見ているだけだった。
いいなあって。



夏のある日、ライオンは、暑くって、暑くって、
水浴びをしに、湖へ行った。
すずしくって、ひんやりしていて、気持ちいい。


ライオンは、その時、なんとなく思った。
ひとりぼっちもいいのかなって。

そのとき、ぴゅって、水しぶきが飛んできた。

うわっ。何が起きたんだろ?
象だった。
長い鼻をホースにして、ライオンに水をかけてきたんだ。


なにするの?
驚いて象を見つめていると、
びゅっ!びゅっ!ってこんどはあちこちから水しぶきが飛んできた。


ウサギと鳥のしわざだった。


何するんだよう...。


遊ぼうよ!遊ぼうよ!


ライオンは、よくわからないまま、
同じように、水しぶきを、みんなにお返しした。
びゅっ、びゅっ、びゅっ!


みんなもライオンに水しぶきを返した。
びゅっ、びゅっ、びゅっ!


たちまち水しぶきが湖じゅうにあふれ、
象と、ウサギと、鳥と、ライオンの、
笑い声も、湖じゅうにあふれた。




次の日から、ライオンは、
みんなを遠くから見ることはなくなった。
みんなといっしょに遊ぶようになったからね。

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学生時代に考えてたお話を思い出しながら、絵を描いてみたの。違う展開のもあるので、そちらはまた別の機会に。