ちょっといい話

ゲームショウ

幕張メッセでは、今日から3日間、東京ゲームショウ2005なるイベントが開催されている。世界一のコンピュータエンターテインメントショウと呼ばれていて、今年は国内外から130社以上のゲーム関連会社が出展している。海外勢は韓国、台湾からの出展が多く、米国、中国、シンガポール、ロシアなどのほか、ウクライナが初出展した。初日の入場者は、3万6000人。プレイステーション3Xbox360などの次世代ゲーム機の展示が話題となって、昨年より大幅に入場者数を増やしたようだ。


ゲームの世界から飛び出したようなコスチュームのコンパニオンが、会場を華やかに演出する。劇場サイズのスクリーンに映し出される映像は映画と見紛うほどリアルだ。今年はブロードバンドが一気に一般家庭に普及したことでオンラインゲームに関心が集まり、関連ゲーム機、ゲームソフトの企業は大きく小間をとっている。


そんなド派手な会場の入り口で、遠慮がちにA5サイズの小さな冊子が平積みされているのを見つけた。タイトルは『テレビゲームのちょっといいはなし』。このイベントを主催するCESA(社団法人コンピュータエンターテインメント協会)が配っているものだ。これが私にとっては今日の一番の収穫だった。


ゲーム機はしばしば批判の的にされる。視力低下を招き、家族との会話や外の世界に触れる時間を減らすなどを論拠として。


しかし、それらはゲーム機の持つ、ある一面であって全てではない。ゲーム機は、意外なところで脚光をあび、高い潜在性を期待されている。それはお年寄りのリハビリテーション施設である。ナムコは”ワニワニパニック”(もぐらたたきのワニ版)を体の不自由なお年寄り用に改造した。具体的には、「握力がなくても使えるハンマーを開発する」、「車椅子にのったままでもやりやすいようにフットレスト用のスペースをそなえつける」などの工夫をした。
太鼓の達人*1も楽曲には「民謡」「懐かしい日本の歌」「音楽療法で使用されるもの」を選び、ビジュアルも「カタカナや英語表記を日本語に」「魂が抜けていく表現をやめる」などの変更をした。また、和太鼓のみでも使えるモードを設定した。


こうした機械はリハビリテインメントマシン*2とよぶそうだ。


ちなみに、従来の歩行訓練のバーをつり橋に見立てるなども試みたが、こちらは生憎、不人気だったとのこと。ワニワニパニック太鼓の達人は、ゲームセンターでお金を出してでも遊ぶ「本物」のゲームを改造したもの。「つり橋」は、もともとのリハビリテーション器具に遊びの要素を加えたもの。「遊び」の「本物性」の点で後者は前者に劣るのだそうだ。


ゲームをしていて、夢中になり、「もう歩けない」と言っていたお年寄りが思わず立ち上がってしまい、杖なしで歩けるようになった、お年寄り同士でコミュニケーションがひろがったなど嬉しい報告がつづいているとのことだった。


読み出してすぐに夢中になってしまい、幕張から帰り道の車中で一気に読んでしまった。
いいな。素敵だな。これから行く機会のある人はぜひ読んで欲しいなあ。

*1:太鼓を音楽にあわせて演奏するゲーム

*2:リハビリ+エンタテインメント+マシン