ホリー・ガーデン

少し楽になったので読書の場所をソファに移した。江國香織の長編小説を読んだ。日常の余分、無駄、役に立たないものを愛おしみ、そればかりを詰め込んで綴った作品。失恋の傷が癒えない果歩は、ビスケットの缶に彼が撮ってくれた写真を大切に保管し、眠れない夜は缶と過ごす。ファインダーから見つめられ、見つめ返す二人だけの時間、沈黙に耐え兼ねて笑い出した瞬間を捕らえた写真の数々。親友の静枝は、自分が暇を持て余してるからではなく相手が持て余してるだろうから電話をしてくれるような人。日々の積み重ねを美しいと感じる一冊。