順正の絵
江國香織と辻仁成の『冷静と情熱のあいだ』が好きで、映画も好きで、友人の友人(ちょっと関係遠い)が結婚式をイタリアで開くというのに便乗して、とうとう映画の上映された翌年くらいにはイタリア、フィレンツェ、ミラノにも行ってしまったくらい、ファンなのです。
だから、立川の実家の近くにイタリアンのレストランがあって、そこでフィレンツェのドゥオモの絵があったときは、すぐにイタリアだ、フィレンツェだ、ドゥオモだとわかって心が浮き立った。そして、店長さんがこれまた順正(物語に出てくる主人公)のような職人気質なのも嬉しかった。
「もしメニューにない料理があっても、リクエストがあれば作りますよ」
「不得意な食材があれば抜きますから言ってください」
とさりげなく声をかけてくれるし、的確なタイミングで前食、スープ、メインディッシュを運んでくれるのだ。
そんな心地よい空間でさらにすごいシンクロニシティが起きた。
店長さんに「これ、イタリアのフィレンツェの絵ですよね。」と声をかけると、
店長さんはにっこりとうなづいて、
「そうですよ。実はちょっとした有名な人に書いてもらったんですよ」と言う。
「どんな人なんですか?」と私。すると店長さん。
「冷静と情熱っていう映画、知っていますか?そう、竹野内豊さんがでてた、あの映画です。あの中で、竹野内さんが書いている絵を実際に書いていた絵描きさんなんですよ」
驚いた。
ほんとに。
驚いた。
世の中って、そんな風になっているんですね。
まるで絵が私を待っててくれたような感じ。
近い将来、絵描きさんにも会えちゃったりするかもしれません。
胸がなんだか熱くなる一夜でした。