浴衣事件
高校時代の友人が、浴衣着て花火大会行こう!って誘ってくれたので、土曜の夜は東京湾の花火大会に行くことに。
ところが、浴衣が、実家。一人暮らししてる女の子には、こういうことが、よくある。で、母に電話すると、「ないよ。」あっさりNGの返事。軽井沢に住んでる妹んちに行ってるとのことだった。しかたないので、(せっかくだから、新調しよう。)と決心して、その日のお昼、地元の長崎屋さんへ行くことにした。
綺麗な浴衣がたくさん並んでる。
私「あの、今日の夜、来ていくのですけど、あてにしてた実家になくって、ひと揃い、探しているんです。」
店員さんは二人。両方ともかなり親切な人たちで、一緒になって
店員さんA「あら、そうなの。どれか気になるのはある?」
店員さんB「背があるしスラリとしてるから、大柄でダイナミックなのがいいと思うわ。」
ちやほやしてくれながら、話を聞いてくれた。
結局最初に見た水色地に白い花、金色の蝶が飛んでいる柄に決めた。帯は真っ赤。
下駄の鼻緒も帯にあわせて渋い赤色。
店員さんA「ちゃんと着付けてくれる人はいるの?」
私「ええ友人が、着付けてくれるんです。」
でも、浴衣、下着、伊達締め、紐、巾着、下駄、全て揃ってるのである。
店員さんA「来てっちゃったらどうかしら?お客さん今いないし。」
店員さんB「そうよそうよ」
そして、店員さんBに「髪の毛は?」と聞かれて、お返事する間もないまま、
店員さんA「ちょっと上にあげちゃいましょうか?」
店員さんB「そうね、そうしたらいいわ。わたし100均でゴムと櫛、買ってきてあげる!」
と、勝手に着付けとヘアメイクまでをしてもらえることになっちゃった。
店員さんBは、早速上のフロアの100円均一コーナーで、ヘアメイクセットを調達してきてくれた(しかも自腹で)。その間、店員さんAには、冷たい麦茶までいただいてしまった。
店員さんが二人がかりで親切にしてくれて、なんてツイてるんだろうと思いながら、言われるままになっていた。
店員さんA 「うわあ、よく似合うわねえ」
店員さんB 「そうね、素敵だわね!行ってらっしゃい」と見送られ、友人宅に向かったのだった。
手数料とか、一切なし。ホントにこれで、いいんだろうか?
友人宅では、すでに友人が着付けてあげた浴衣姿の4人の友人たちと友人の彼とが出迎えてくれた。シュークリームやお茶でくつろぎつつ、お互いに「きれいね、素敵ね」と褒めあい、記念撮影を楽しんでいるうちに、夕暮れが近づいてきたので、勝どき駅の会場まで移動した。
途中雨で中止になるんじゃないかと心配していたけれど、決行。東京湾の花火はとてもとても美しく、みんなずっと空を見上げっぱなしで「うわあ!すごい!きれい!」と歓声を連発して、首やのどがいたくなっちゃうほど。綺麗なものを、気心の知れた友人たちと、堪能できるって、なんて幸せなんでしょう。
そして、帰り道。友人宅のある東高円寺の駅までの電車の中、なんとなく、呼吸がしづらいのである。はやく着かないかなあと路線図を見ても、苦しさは、募るばかり。しまいにはなんだか目の前がちかちかしてきて、気を失っちゃいそうなほど、辛くなってきた。星が、とんでる。今日二度目の花火だよ....。
新宿がもうまもなく近づくくらいのタイミングだったと思う。
「Nちゃん、苦しいかも」立ってられなくなる、一歩手前で、Nちゃんと、
Nちゃん彼に付き添ってもらい、電車を一緒に降りてもらった。
原因は、ウエストの紐の締め付けすぎだった。
店員さんAは、普段の私を知らないから、朝ごはんも、昼ごはんも食べてない私のウエストがデフォルトの私のウエストサイズと思って、かなりかなりきつめに締めてしまったようだった。風と共に去りぬのスカーレット・オハラ気分で我慢してちゃいけなかったのだ。
原因がわかってほっとした。着付けのできるNちゃんに、おトイレで紐を緩めてもらって、Nちゃん宅にもどってからも、もう一回緩めてもらって。
助かった。よかった。
そうよね、うまくいきすぎたわよね。あんまりラッキーすぎたから、きっと、ハッピーバランスが崩れたんだな。妙に納得してみたりした。
でも、生きてる。Nちゃん、Nちゃん彼、ほんとにありがとうございました。
みなさま、ご迷惑をおかけしました。懲りずにまた誘ってね。