出会い

aron2006-02-23

渋谷でランチできる場所を探しに、東急百貨店に入った。


レストラン街に向かおうとエスカレーターをあがっていくと、
一瞬にして私の心を奪う、懐かしく見覚えのある名前が目に入ってきた。




中原淳一  





目を疑った。
心臓が止まるかと思った。

たて看板には


中原淳一 名作版画展』と書いてある。


展覧会やってる!!!




日にちを確認。



2/23〜3/1



今日からだ!!


アンテナをはると、いいことあるって本当だったんだね。


中原淳一さんは、1913年生まれ。1950年代、私が生まれる25年も前に活躍した人。たくさんのアーティストがいる中で、あの時間、あの場所で、彼の作品と、出会えるのは、信じられないくらい、運命を感じちゃうくらい、素晴らしい偶然だ。


これまで何度も足を運んだ自由が丘の古本屋さんで、背の届かないほど高い本棚の上で、ビニールでしっかりラッピングして飾られ、1冊50,000円前後で売られている『それいゆ』や『ひまわり』『中原淳一画集』。いつも遠くから眺めるだけだったそれらの作品を、みないつかは手にとってじっくり見たいと思っていた。ところが展覧会場に入ると、壁に彼の作品が飾られているばかりではなく、それらのいくつかが、封もされず、単なるカタログのように、ぽんと置かれているのだった。私の目の前に広がって、早くページをめくってと、呼んでいるようだった。



引き寄せられるように私は画集に近づき、むさぼるようにページをめくり、夢中になって、くいいいるように、文字と絵を、眺め続けた。



背中の方から声が聞こえてきた。中年の女性たちだった。心なしみんなこぎれいな身なりをしていた女性だったが、懐かしそうに絵を眺め、ときには自分たちの少女時代を振り返り、素敵だったわと談話している。


ファッション、デザイン、編集、イラスト....、美の世界を追求し続けた人、中原淳一


彼女たちの会話を聞きながらも、私はひたすら画集と雑誌をめくり続けた。



すぐにランチを食べる時間はなくなった。それでもよかった。
フランダースの犬のネロがルーベンスの絵を熱望したように、私は中原作品を求めてた。そしてそれに出会えたのだから。


かなり幸せ。


入り口においてある、ポストカードもいただいてきちゃった。

また、週末にでかけようと心に決め、後ろ髪惹かれる思いで会場を出た。